名簿の視点

自分たちが議論のどこにいるのかを確認し、次の議論へ移るための踏み切り板にもなるのである。

分析ではなく、伝えることに焦点を合わせることは、簡単なようで結構難しい。 特にプレゼンテーションで、何枚かマテリアル(発表資料)を用意すると、多くの人はその一枚一枚の説明をしようとする。
このページで言いたいのはこういうことだ、実績をグラフにしたもので、こういうことがわかります、といったように、プレゼンテーションの展開をマテリアルに頼りがちだ。 だが、マテリアルはむしろ背景みたいなもので、中心はスピーチであるということを忘れてはいけない。
あくまで話すことが主体であって、それを聴衆によりよくわかってもらうために、スピーカーの後ろに図を置き、表を見せるのである。 これはメッセージを伝えることに集中するためにも、重要なポイントになる。
もうひとつ大切なのが、重要な関係のみを強調することである。 なぜなら、人間の頭というのはいっぺんに多くのことを覚えられるようにはできていない。
また、ある決断をするときに、理由は数多く必要ない。 核心を突くようなものが二つ三つあれば、決断できるものである。
そのため、知り得たことを全部並べる必要はなく、何が重要で、何を行うと、どういう効果が得られるのかを強調する。 それをシンプルに、わかりやすく提示するのである。
報告書やプレゼンテーション・マテリアルは、ある種紙芝居のようなものであるべきだ。 ワンベージ・ワンメッセージと言われるように、次から次へと進めて、シンプルに頭に入れる。
後ろに戻る必要はない。 「なるほど、こうすべきなのだ」、「それはこうだからだ」と、ストレートにメッセージが展開するように構成することが、本論のポイントである。
終了部のポイントをまとめた図おに「締めくくることを忘れずに」とあるように、プレゼンテーションが終わる前に、もう一回、主要メッセージを確認する必要がある。 今日のメッセージとキーポイントは何だったかを念押しするのである。
その上で、付加的な展望として、これを実行するとどういう利益があるのか、トップ・マネジメントの役割は何か、聴衆に何を期待しているのか、緊急性やタイミングはどうだ、次に展開するために、これを実行すべきだといった事項をつけ足すのである。 特に「意思決定して、決裁が終わったら、次の一歩はこれですよ」ということを明確にしておく。

そうすれば、実行へ向かう勢いが削がれず、どんどん先に進むことができる。 余談だが、ゃったことを全部見せたい、こんなに苦労したと言いたいというのは、人間の心情である。
しかし、映画を見てもわかるように、アマチュア監督が、自分の撮ったものをすべて見せたい気持ちを抑えられずに、だらだらと編集した映画は、全然おもしろくない。 逆に、フィルムを何十万フィート使って撮ったとしても、一週間を費やしたカットであっても、それらを惜しげもなく切り捨て、監督が伝えたいメッセージに集中させた映画はおもしろいものだ。
その点で、映画もプレゼンテーションも本質は同じである。 AVすぐれたプレゼンテーションへのアプローチプレゼンテーション・テクニックの締めとして、短期間でよいプレゼンテーション・マテリアルや報告書をつくるために、どのようなアプローチをとるべきかを論じたい。
第一章で述べたことと一部重なるが、プロジェクト・ワークの核となる部分であるため、あえて繰り返す。 共通認識をもっておきたいのは、プロジェクトは期間のかぎられた仕事であるということだ。
これは、社内のプロジェクトでも、コンサルタントが仕事として遂行するプロジェクトでも同じである。 特にスピードが要求される現代においては、一、二年かけてゆっくりゃればよいという仕事などないと考えてよいはずだ。
プロジェクトは、短期間で結論を出し、報告書にまとめ、プレゼンテーションを行うところまで、一気に進めなくてはならない。 寄り道をしたり、試行錯誤を重ねる時間すらきわめて少ない。
そこで、プロジェクトを進めるときには、トップダウン・アプローチとボトムアップ・アプローチをいかにうまく組み合わせて効率的にプロジェクトを進めるかが、非常に重要になってくる。 要するに、どうあるべきなのかという提言から、トップダウンで落としていくものと、仮説を事実で検証しながらボトムアップで積み上げていくものの両方をうまく連携させることがポイントとなる。
地引き網的に、まず事実を全部集めてから、何をやるべきか考えようというアプローチもあるが、それではスピードが劣るし作業としても非効率なものになる。 しかも、提言が見えた段階で、それまで集めた事実が必要十分で役に立つものである保証はない。
調査結果が帯に短し棒に長しになっていないかどうかは、ふたを開けてみないとわからない。 そのため、プロジェクトの早い段階でトップダウン的な構造を考えるべきだ。

仮説検証のために必要十分な最小限の調査を行って新しい事実がわかったら、この構造をもう一回練り直す必要があるかどうかを考え、修正を加えるのである。 たとえば、ITを利用した新しいビジネスを始めるという企画段階ではスピードが重要視される。
また、企業内部の業務を広範に変革するプロジェクトでは、調査のボリュームが大きい上に、やり直しがきかない。 しかも、時聞がかぎられているため、こういったアプローチが最善なのである。
金鉱が埋まっている大きな山があるとする。 金鉱を掘り出すにはどうすればよいかを考えると、山を端から切り崩していけば絶対に金鉱にあたる。
だが、それにかかる時間と作業はとてつもないものになってしまう。 まず、どこに金鉱があるかを探るために、簡単に手に入るデータをもとにボーリングの候補地を探す。
そこでボーリングをかけ、結果を見ながらさらに候補を絞る。 こうしたやり方でないと、スピードと効率性は出てこない。
すなわちトップダウンとボトムアップの併用がポイントになるのである。 そして、最終的に出すべきアウトプットを想定する以上、当然プロジェクト全体の進め方が、仮説検証型になっていく。
プレゼンテーションの大きな組み立ては前節で説明したので、この節では本論にあたる部分の構成を論じる。 人を説得し、アクションを起こさせるための論理構成に、どのようなものがあるかを簡単に説明したい。
いわゆる説得することを目的としたスピーチの組み立てには、大きく分けると次のような四つの基本型がある。 示すように四つのパートから構成される。

ひとつは、現状を変革しなくてはならない理由を証明するパートである。 現在非常に深刻な問題が起こっていることを明らかにする。
こんな問題が存在する、不祥事が起こった、損害が多発しているなどと示すのである。 そして、その原因は、経営戦略や業務プロセス、情報システムなどの根源的なものにあり、それを変えないかぎり小手先では解決が不可能だと証明する。
現状システムと因果関係が強く、問題点を解決するにはそのシステムを変えなければいけないことを証明する。 次に、原因を取り除き、問題点を解決するには何をすべきかというプラン(改革案)を明らかにし、それが確実に原因を解消して、問題点をなくすことを証明する。

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